不確かな手応えと向き合う

 週末は久しぶりに湾へ。父の釣竿を使ってキャッチ&リリースをした。
最近は山や森によく行っていたので、海に行ったのは本当に久しぶりだ。何カ月行っていなかっただろう。
最近できたという台風の卵の影響が少しあるのか、風が強く波も高め。 いつも足元にいる魚も、沖の方に移動していたようだ。
釣りも風も波の音も香りも楽しむことができたはるながお送りする日記第44弾。釣りがますます好きになった。


10月11日

 朝準備を済ませると、いつもの患者さんがいらっしゃった。
いつもは10分マッサージだが、今回は40分。いつもはできない部分もほぐせるチャンス。
10分ではほぐしきれない場所も多いため、それもほぐすように施術を進める。もちろん患者さんのリクエストも聞いて行く。
やはり40分もあると、私も患者さんも気になっている場所を多く揉める。固さを診るともう何回か長くやりたいなあ。
その後午前中は何もなく、午後にこれまたいつもの患者さんの施術だ。
今日は症状がとても悪化しているそう。いつもより痛みが出やすいようだ。いつもより少し弱めに揉む。
なんで症状は悪化してしまっているのだろう。考えてもわからなかった。今していること以外の選択肢が思い浮かばなかった。
私がまだ未熟だから治しきれないのかな。何となくそう思ってしまう自分もいた。

10月12日

 今日はひたすら自分を揉んで手の感覚をつかむことに専念。
すると午前中に「坐った僕の肩を揉んでください」と院長の声。体がぴくっとなったのがわかった。
受付の椅子に坐られた院長の肩を片方ずつ揉んで行く。院内で、坐った方の肩を揉むのは久しぶりだ。
坐った方の肩を揉む時は体重は少ししか乗せられないので腕の力が便りになることもしばしば。
揉んでいると、胸の辺りが押しつぶされるような、苦しいような痛いような感覚がやってくるのがわかった。焦ると余計に強くなる。
少ししか揉んでいないのに手の感覚が鈍くなった気がする。結果は「左手の方が少し弱いね」とのことだった。それさえもよくわからない。
午後は一つ上の先輩先生を台に、背中から腰を揉む練習をさせていただいた。
背中から腰…。感覚をつかんだと思ったら忘れ、またつかんですぐ忘れ…の繰り返しは、いつになったら終わってくれるのだろう。
週末父の背中から腰を揉んだ時の手の良い位置や感覚も、今ではあまり思い出せない。
肩や頸を揉む練習の時はそんな繰り返しは少なかった気がする。それもあってか、背中から腰の件に関してはかなり焦りが出てきている。
他のみんなより政調が遅い。この院はいろいろさっとできる人が多い。いろいろな状況が私を余計に焦らせる。
ただ、焦っても仕方がないとも思う。いったいどちらなんだろう。手の感覚も考えも不確かになっている…。

10月13日

 午前中、自分の足を揉んだりして考えごとをしながら練習していると、「患者さんのマッサージお願いします」と院長の声。
保険での10分マッサージ。私は初めて診る方だ。くすぐったがられるそうなので指圧をするよう指示された。押しても指を動かさない。
筋肉の一番膨らんだ部分を探すために指を少し動かすだけでも、体がぴくっとされるほどくすぐったがれるため、難易度は高めだった。
その施術が終りほっとしていると、当日予約された2人目の患者さんの情報が院長から伝えられた。
新規の患者さんで、頸と肩から肩甲骨の下の角の高さまでを揉むよう指示された。
私から1度「固いですね」というと、何で困っているかやちょっとした雑談に相手から会話の運びがあった。それに応じながら揉んでいく。
途中、患者さんがアロママッサージを受けているという話になり、それと今のマッサージは違うのですねと言われた。
手全体を柔らかく使ってするアロママッサージと、凝りのポイントを狙って揉む「按摩(あんま)」や「指圧」をベースとした手技。
全く違うものとわかっていても、なんだかちょっと悔しい気もする。その一方で、結局好みなのかなと思う自分もいた。

いつもよりよく動いた午前を終え、午後。いつもの患者さんと、今回2回目になる患者さんを施術。
いつもの方の症状は今日は少し良くなっているようだった。この前だいぶつらそうにされていたのでだいぶ安心した。


 今回はここまで。
不確かになっていく自分の手ごたえ。それゆえより不確かになる施術。このサイクルはいったいいつ止まってくれるのだろう。
これに対しては何か策を講じないと、自分にとってもまずいし患者さんにとってはもっとまずい。かといって焦るともっともっとまずい。
早く休日になってほしい。そこで好きな子としてリフレッシュしたい。早くもそう思ってしまうのだった。