患者さんをもっと理解すると言うこと

 数日前。院内の治療も在宅の施術も多くされている先生が、施術との向き合い方についてお話をされていた。
「患者にも、話が好きな人とか、静かに施術を受けたい人とか、いろいろいると思うけど、やっぱり最低限の情報は聞く必要はあると思う。
揉む時に、『ここは痛いですか』『こちらはどうですか』って。
あとは、症状によってどういう風に痛かったりつらかったりするかとか、どこが固いかを想像しながら施術するのもだいじだと思う。」
そういえば、全く同じことを、在宅マッサージのみを担当されている先生にも言われたな。
一方で、患者さんに話しかけすぎると、せっかくうとうとしているのを邪魔してしまうのでは、という、患者さん目線からの意見もある。
その二つはどうバランスをとるべきかと考えたが、それぞれは別の問題ではないかとも思いつつあるはるながお送りする日記第41弾。
患者さんと施術それぞれとの向き合い方や付き合い方は、簡単そうでかなり難しいし奥が深い…。

今回は、三日連続で長い患者さんを施術した記録を中心にお届け。


9月30日

 今日の患者さんは…
以前私が担当していたが、私のマッサージの刺激が弱いとして別の先生の担当になった方。
おそらく、他の先生より安い金額で私のマッサージを受けられると聞いて、それで予約を入れられたのだろう。
上司の施術を短い時間受けるのがいいか、ちょっと金額を上げて新人の施術を長い時間受けるのがいいか。何とも言えない選択かも…。
と変な考えがよぎった。一度不満を言われているのだ。謹聴すそれでもやるしかない。施術の質が上がってるかはよくわからないけど。

施術開始。久しぶりに触ると、私の記憶と違うところが多くあった。凝り、こんなだっけ?ここ、こんなに固かった?
それでも変わらないのは、指先に意識を向けることや、施術中の患者さんの訴えを聞くこと。それで患者さんについてより理解できるなら。
そんなことを考えながらの45分の施術は終了。反応は…まあまあだったかな。次回も同じコースで予約を入れられたようだ。ありがたい。

10月1日

 もう10月だって?なんということだ…。そして…

そんな10月一番の患者さんは…
いつもの方。短い施術が主だったが、2日ほど前に45分マッサージをされ、今日も同じコースで予約をとられていた。
その方の鍼をされている先生から、
「マッサージで診る状態ははるなさんしかわからないから、患者さんの話を聞いたり触ったりしながら施術を展開していってね。」
と言われたのがすごく印象的。これが「自分の患者さんを持つ」ということなのかなと何となく思ったのは良い出来事。
最近院内ではこの方を一番よく施術している気がする。そのためか、反応がある部位の記憶が一番鮮明な患者さんになりつつある。
それでも、症状が少しずつ変わっているところもあり、そこまでを把握するのはかなり難しい。改めてそう思った。

10月2日

 今日予約が入っていた長い患者さんは…
いつもは院長が鍼を中心に施術されている方。たまに私のマッサージコースで予約をとってくださる。
最後に診たのは数週間前。メモを見ながら施術を組み立てようとするが…、メモ、こんな簡単にしか書いてなかったっけ。今日の施術で情報追加しないと!
ベッドに向かい久しぶりに診ると…、私の記憶以上に悲しいことになっていた。事務職というのもあってか、全部凝っている?
今回悔しかったのが腰の施術。私があまりにも下手すぎて、凝りの頂上に指が当たらず、体重が乗らず、ちょっとなあという結果に。

そしてもう一つ、書いておかなければいけないことが。
この日、先生が一人急遽お休みされることになり、それを補うため、私にも患者さんがあと2人割り振られた。
一人はこの治療院の事務の方。私の在宅マッサージの送迎もしてくださっている、親しみやすいスタッフ。 親しみやすいのはすごく良いし私も気分的に楽なのだが、逆に緊張感があまりナイ分施術時の集中力が低下するのは難点。
そしてもう一人、この日最後の患者さんは新規の方。しかも、私の施術で一番ポイントに当たらない、腰部分に症状がある方だった。
さらに言えば、体つきがしっかりされている方なので、背中や腰の筋肉が厚い。疲れた私の指がそれに打ち勝てるはずは…今はない。


 今回はおこまで。
最後の患者さんラッシュにあまり耐えられなかったのと、腰部分の施術の下手さ。いろいろ悔まれる。
一つ上の先輩先生にそれについてちょっとぼやいてみると、「気がついたらポイントに当たるようになってるから」とおっしゃった。
いつもそうおっしゃってたよな…。本当にそうだといいな…。そんなことを思いながら退勤後の時間を過ごしたのだった。